凪ヲ待ツ

凪ヲ待ツ

双極性障害2型アラフォー女子の日々感じたことゆるゆる

「精神障害をもつ人のための 親なき後に備える」を読んでいたおかげで、親なき後に色々と困らずに動けた

f:id:sinonomechang:20201211145603j:plain


今年の3月、父が亡くなりました。
ぼんやりとした輪郭の「親なき後」が急にハッキリと目の前に形となって表れました・・・。父が急死し半年以上経ち喪失感がだいぶ減ったいま、一昨年に読んだこの本を再読しました。



2018年初読み時の感想↓

sinobipolar.hateblo.jp


当時、両親はこの本を読んだことによって私の今後について考える機会が増えたようでした。私も漠然とした不安がだいぶ解消され、いずれ一人で生きていくためには今のうちにできる準備を続けていこうという前向きな読後感をもらえ、随分と気持ちが落ち着いたものです。また、両親と私で少しずつ具体的な話をしていくようになりました。

具体的な話で実行したことがひとつあります。
自宅を売却してマンションを買って引っ越しをしました。住んでいる場所が私の通勤に不便なこと(通勤片道の時間が夏で1時間半、冬で雪が降ると2時間)、親が高齢になってきて自宅を維持すること(庭の手入れや雪かきなど)が年々大変になってくることが予想され、私が家を引き継いだとしてもとうてい一人では無理という判断からでした。

また、両親は終活を始めており葬儀の仕方やお墓も絞り込んでいました。それに加え資産などの内訳や預貯金がどこにどれぐらいあるか、困ったときはどこから使えばよいのかは母から聞いておりました。「これからのこと」はいつやってくるのかわからないので、できるだけ定期的に家族で話す機会を設けることは大切なことだと、振り返って思う大きなことです。


とはいえ、親が亡くなるのはまだまだ先の話。
そう思っていて暮らしていたのが急に現実となった2020年春。

父が亡くなった後は、当然のように混乱と喪失と悲しみが襲ってきました。これは久しぶりの長いうつ期に突入した要因の一つともなりました・・・(心と身体は連動しているのだなと変のところで納得してみたり)。いまはだいぶ回復してきたので冷静に振り返られますが、父の死後3ヶ月は無我夢中に母と走ってきたような気がします。



親が亡くなったことで起こる困りごと。
何個か出てくるだろうと思っていましたが、実はそれが全くありませんでした。様々な選択に迷うこともなかった。振り返るに自分でもびっくりするほどです。これは父の生前に色々と話してあったことが役立ったおかげ。今更ながらに父、母に感謝しています。(この本の巻末には家族で親なき後のことを話し合うためのヒントがリスト化されて掲載されていまして、これがかなり役立ちました)

「親なき後に備える」、この本を読んでいたおかげでどういったことを対処していけばよいのかが具体的に理解できていたので、父の死後の諸々の手続きはスムーズに進められたような気がします。と言うより、早く終わらせないとという気持ちで躍起になって進めていた部分もありますが・・・

いま思い出せるものから書いていくと、葬式の打ち合わせから始まり、親戚・知人への連絡、宿泊場所の手配、役所への届け、金融機関・生命保険会社・クレジット会社への連絡、車の売却、年金停止申請、遺族年金の申請、預貯金名義変更、公共料金の名義変更、香典返しの手配、相続の手続き、お墓の申込・・・

www.e-butsudan.com



葬儀社からもらったパンフレットを参考に優先順位をつけていき、だいたい2ヶ月で終わらせることができました。母が憔悴していて手続きに頭が回るか心配で、主に私と妹で行っていきましたが一人でやっていたらもっと時間がかかっていたでしょう。妹・妹の旦那さんの力が本当に助けとなりました。



さて、本の中で親の死後とどのように向き合うか、不安なこととしてとり上げられていたのが、「生活力」「経済的なこと」「心理的なさびしさ」。私が現在どのように対処しているかを書いていきます。


「生活力」
生活面ではうつ期は色々とできなくなってしまうことが増えるのですが、それでも最低限の身の回りのことは今のところ問題なくできているので、父が亡くなったあとも特に変わりはありません。ただ、職場への送迎を父に頼んでいたので出勤時の移動に疲れることはありました。慣れるもので今は問題なくできています。
家事の8割は母がしていて、私は2割ぐらいしか出来ていないので今後は割合を増やすよう頑張っていくのが2021年の目標です。こればっかりは急に色々できるものではありませんから・・・できることを少しずつ積み重ねるしかないのですよね。

「経済的なこと」
これが一番心配なことでしたが、幸いに父に借金はなく蓄えもほどほどにあったので、大きな贅沢をしないでいけば十分に暮らせていけそうな状況です。
私は現在障害者雇用で週5日6時間の短時間勤務で働いています。障害年金厚生3級も受給していて、給料と合わせると地方だと一人暮らしがなんとかできる金額を毎月得ています。これに父が今まで働いてきた恩恵の母が受給している遺族年金、母のパートの収入で毎月暮らしています。資産は母が全部受け継ぐことにし司法書士に一任し手続きをしました。
妹が一人いるのですが、まだ母が元気なのだからと子ども2人の分割相続は無しで同意しました。(同じ市内に住む叔父が司法書士を紹介してくれ、また不動産購入の際も手伝っていただいたので、こうしたことに強い親戚がいることにありがたさをつくづく感じています。)

いずれ私一人になるときが来ますが、あまり心配はしていません。
頼れるものには頼りまくり、なんとかなると思って行動して。実際、本の中にも何とかなるとありましたから。そうはいっても妹夫妻にあまり迷惑はかけたくありませんが・・・
 

心理的なさびしさ」
本当に悲しいときは泣けないんですね。
いまでも毎日どうしていまここに父がいないのだろう、あのときの対応が間違っていたせい?(父は私の目の前で倒れ、救急車呼んだ経緯があります)、もっと色々話したかったのに・・・そう思う時間が必ず訪れます。そんないま、悲しみさびしさを減らすためにしていることは父の生きていたときの話を沢山すること。過去は振り返らない主義の私ですが、父との過去はどんどん振り返っちゃいます!

寂しさはいずれ時間が解決してくれるだろうから、いまはこの感情をどうにかしようとは思わないでいるのがいいのかな、そう考えてる現在です。



「身近な人の死」「残されたときに自分ができること」。
精神障害があるからこそ、健常の人より色々と行動することが大変となるのは目に見えています。少しでもその負担を減らすためにも、できるだけ早く備えをしておくことが必要なのだと再読して思いました。